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プロセス・体験が顧客幸福度の源泉

サービス業の分野でこの10年ほどの間に登場した三つのコンセプトに注目したい。いずれも幸福のマーケティングに不可欠の武器だと言っても良く、下記のような対の図式で説明されることが多い。

・S-Dロ ジック(Service-Dominant  Logic)とG-Dロジック(Goods-Dominant  Logic)
・プロセス品質と結果品質
・体験型購入と物質型購入


サービス業とは何か

第一の図式はサービス業の位置づけにかかわる。G-Dロジックは、今の私たちの常識に近い考え方だ。世の中の生産物にはモノとモノ以外(サービス)があると考えるわけで、全産業=モノ(第一次産業+第二次産業)+モノ以外(第三次産業)である。

これに対して、世の中に存在するすべての産業はサービスなんだという論法が「S-Dロ ジック」だ。全産業=「モノ」を提供するサービス業+「モノ」を提供しないサービス業。たとえば、自動車産業は普通に考えればモノづくり産業だが、自動車というモノを通して、さまざまな出来事(楽しいドライブ、家族旅行など)を提供する サービス業だとも言えるわけだ。

第二の図式はサービス業の品質の定義を意味する。サービス業の品質=プロセス品質+結果品質だ。結果の出せないサービスはもちろん意味がない。しかし、サービス業では、結果へ至るプロセスも重要である。よい美容師は カットが上手いだけでなく、カットや洗髪などの時間の快適性にも配慮する。よい病院は、入院生活ができ るだけ快適になるよう努めてくれる。なお、美容室では顧客が椅子の上に、病室では患者がベッドの上でおとなしく協力してくれなければよいサービスを提供できない。プロセス品質は顧客との共同作業で実現するのである。

第三の図式は、第二の図式を顧客の目線から言い換えたようなものだ。すなわち、全購入=体験型購入+物質型購入。旅行やコンサートは体験型購入だし、宝石や家電は物質型購入だ。そして米国の幸福度研究によれば、「体験型購入」のほうが「物質型購入」より幸福度が高 いという結果が出ている。

伝統的なサービス業に未来のヒントあり

第一の図式S-Dロジックで言えば、製造業はモノとして見えやすい部分を切り出して発展してきた産業である。だから、標準化や効率化が進みやすかったのだが、それが行くところまで行ってしまうと、必ず行き詰まる。顧客に幸福を提供するために何をしたらよいか?という問題になると、むしろこれまで切り捨ててきた部分にヒントを求めなければならない。小売業や観光業などの伝統的なサービス業にこそ学ぶべき点が出てくるのである。

たとえば最近、商品開発の段階で顧客の協力求める「顧客共創」というマーケティング手法が製造業でも注目されている。これなどは「プロセス品質」のモノづくり版と言えるだろう。

また、商品購入後の「体験」という段階にも最近の製造業は目を向け始めている。サービスの購入と違って、モノでは購入後に体験が始まる。宝石やパソコンの購入が幸福度に貢献したかどうかは、実は購入後の利用体験を積み重ね てみなければ分からない。顧客に幸福という価値を提供するためには、モノを売り切るという発想では限界がある。となれば、企業は利用体験や維持管理までをモニタリングする必要がある。「製造業のサービス化」と呼ばれる動きは「体験型購入」のモノづくり版に他ならない。

近代化に遅れていると言われてきた伝統的なサービス業に製造業が学ぶという逆転現象は、私のように小売業のマーケティングから出発した人間には何やら感慨深いものがある。

 
※参考
S-Dロ ジックについて
http://www.sdlogic.net/index.htmlg
過程品質について
http://ci.nii.ac.jp/naid/110000032555
体験型購入について
http://psych.colorado.edu/~vanboven/VanBoven/publications_files/vb_gilo_2003.pdf
 

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